[終了しました]有瀬龍介 個展「Image Landscape」
6/29(土)から7/28(日)まで、enstolショップにて、京都在住のイラストレーター・有瀬龍介さんの個展「Image Landscape」を開催いたします。
enstolの椅子に座って、有瀬龍介さんの作品をお楽しみください。
有瀬 龍介 aruse ryosuke/
1983年5月30日生まれ
京都在住のイラストレーター
2000年頃より活動をスタート
手描きによる繊細なタッチを得意とし、
古い本の挿絵・書物、身近にある植物・食物などから着想を得て制作した作品や、
抽象画、墨絵など、テーマ毎に幅広い作品を生み出している。
http://ryosukearuse.sakura.ne.jp/
開催日時:
2019年6月29日(土)-7月28日(日)
10時〜17時
場所:
enstol ショップ
〒611-0041 京都府宇治市槇島町月夜3-7
有瀬さんにお会いしてきました
有瀬さんの自宅兼アトリエは、京都市の北のほう、深泥池(みどろがいけ)のほど近くにあります。
これが深泥池。
多くの水生植物や昆虫、魚類、野鳥などがいて、国の天然記念物にも指定されている湿地です。
ときには野生の鹿もやってくるのだとか。
右が有瀬さん、左がenstolの家具デザイナーのオカノ。
有瀬さんとオカノは、美術工芸専門の高校時代の同級生。
以前からenstolのショップに飾っている絵も、有瀬さんの作品です。
ちなみにオカノは高校〜美大時代、洋画を専攻。
長時間椅子に座って絵を描くうちに座り心地の良い椅子を探し求めるようになり、気付けば自宅は北欧の名作椅子だらけに。
北欧家具のデザインや構造を知り尽くした岡野がデザインする家具は、どれも美しくシンプルで機能的です。
アートをもっと身近に、家具を選ぶのと同じような感覚で暮らしのなかに取り入れて、楽しんでもらえたら。
今回の個展の企画は、オカノのそういった想いからスタートしました。
お住まいの2階にあるアトリエ。
まわりは住宅街で、とても静かです。
たまに遠くで子どもの声が聞こえたりして、のどかな空気が流れていました。
画家志望のお父さまを見て育った有瀬さん。
幼い頃から、絵を描く仕事がかっこいいと思っていたそうです。
高校でファッションの勉強をしながら徐々に絵を描きはじめ、20歳くらいからアルバイトをしながら絵を描き、たまに発表するように。
以来、不定期の個展開催のほか、さまざまなアーティストやクライアントからイラストの依頼を受け、制作活動を行っています。
有瀬さんが普段絵を描いているテーブル。
墨やアクリル絵具など水分量の多い材料を使うため、イーゼルなどは使わないとのこと。
主に自然光が入る日中に制作するそうです。
あるものとないもの。有瀬さんの絵のモチーフはさまざまですが、
何かを表現しようとか、こうあらねばというこだわりはないそう。
コントロールしたものよりも、偶然的にうまれるものに惹かれるのだそうです。
見る人それぞれの解釈で、何かを受け取ってもらえれば嬉しい。
そうおっしゃっていました。
お伺いした日は陶器の絵付けをされていて、作業台には制作途中の作品が。
以前陶芸作家の方と共作したのを機に、2年ほど前から陶芸をはじめたそうです。
絵のタッチそのもののような繊細さも、自然体で気さくな一面もある有瀬さん。
有瀬さんが吸い込んだものが、ゆっくりと体内をめぐり、ある日ふと指先から吐き出され、絵となる。
ご本人にお会いして、そんな印象を受けました。
個人的に好きな詩があり、ヘルマン・ヘッセの『寝ようとして』という詩なのですが、
一日のいとなみに疲れて、
私の切なる願いは
疲れた子どものように、
星月夜をしみじみと抱きしめる。
手よ、すべての仕事をやめよ、
ひたいよ、すべての考えを忘れよ、
私の五官はみな
まどろみの中に沈もうとする。
魂はのんびりと
自由な翼で浮び、
夜の魔法の世界に
深く千変万化に生きようとする。
有瀬さんの絵を見ていてふと思い浮かんだのが、この詩でした。
同じ絵でも、ショップなどの「よそ」の空間で見るのと、きわめて私的な空間である家で見るのとでは、また違います。
今回の個展を機に「家具に触れるように、アート作品に触れる」という体験を日々の暮らしに取り入れて、
enstolの家具と有瀬さんの作品を楽しんでいただければと思います。